家に着くまでの間、二人は終始無言だった。
時折、秋の訪れを告げる虫たちの鳴き声が聞こえてくるばかりだ。 
家に着き、自転車から降りると、ワカメはうつ向きながら言った。

「送ってくれて、ありがとう。今日はごめんね…ワガママだったよね…。」


「ぜんぜん気にしてないよ。俺こそ、強引に誘っちゃったかな てずっと気にしてたんだよ。やっぱ、スズコと行きたかったかなて…。」
「そんな事ないよ!あたし…堀川君と二人きりで
お祭りに行ける事になって、凄く楽しみだったんだよ。」
「そっかあ…良かったあ…」

堀川は、頭を掻きながら言った。堀川が照れた時のクセだ。
ワカメにやっと笑顔が戻り、二人は笑い合った。

「やっぱ、ワカメちゃんの笑顔て、可愛いね。
俺…ワカメちゃんの元気で可愛いとこを好きになったんだ。」

突然の告白に、ワカメがドギマギしていると、堀川の唇が、ワカメの唇にふれた。
触れるか触れないか、時間にしたら、僅か2秒くらいだ。

堀川は、自転車にまたがると

「あ、今度父さんが、皆をキャンプに連れて行って来れるって! スズコ達も行けるらしいし、ワカメちゃんはどう?」
「うん…大丈夫…。」

ワカメは、はにかみながら、頷いた。

「良かった!詳しい事は、また電話するね!」

堀川は自転車を勢い良くこぎだした。ワカメは、その後ろ姿を見送る。
50mほど走らせると、堀川は自転車を停め、顔だけこちらに向けて叫んだ。

「あ、あとさ!新しい浴衣、似合ってて、すっげー可愛い!」

堀川は、先ほどよりも猛スピードで自転車を走らせた。


(以下、投稿無し。終了と思われる。)

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