―私は目の前の光景を呆然と見つめていた
タラちゃんのお腹に刃物が刺さっている
どす黒い血が白いシャツを汚していた
「おいタイコ!!ぼーっとしてる場合じゃねぇんだよ!!お前看護士の資格持ってるだろ!?昔パートかなんかでやってたじゃん!タラヲ助けてくれよ!」
イクラが泣きそうな声で叫ぶ
パシッ
スナックに渇いた音が響いた
私は無意識にイクラの頬を叩いていた
手の平がジンジンする
イクラに手を上げたのはこれが初めてだ
「何すんだよ糞ババア!!」
「あなたって子はどこまで身勝手なの!!こんな…なんてひどいことしたの!!」
目から自然と涙がこぼれる
「俺がやったんじゃねぇよ!!つーか今はそんなこと言ってる時じゃねぇだろが!
なんとかしろよ!!」
「なぜ病院に行かないの!?私の手でなんとかできる状態じゃないわよ!!」
イクラは悔しそうに唇を噛んで俯いた
「頼むよ…医者に行けねぇ理由があんだよ…。けどやったのはマジ俺じゃねぇ…信じてくれよ…」
イクラの頬を涙が伝う
私は胸が締め付けられるような想いがした
ノリスケを失った頃のイクラを見ているようで心が痛んだ
「…わかったわ。やれるだけのことはやってみる。だけど助かるかどうかの保証はできない。もし助からなくても私を恨まないって約束して」
イクラは黙って頷いた


(未完結)

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