「そうだ。イクオ、どうせだから上がっていけ」
イクオは先ほどから考え深げにうつ向き、押し黙っている。
「…あのさ、ワカメちゃん」
「どうした改まって」
「僕が今日、君に会いに来た本当の理由はね…」
イクオが決意を固めた瞬間、何やら派手な二人組が声を掛けてきた。
「よう、ワカメーンw」
「…カツオうんこ」
イクオはまたか、といった面持ちで、小声でワカメに尋ねる。
「ワカメちゃん、だれ?」
「カツオうんこと花沢メスブタクソビッチだ」
「え、カツオ…くん?」
「ちょっとおー、クソビッチってえ、アタシのことおー?」
赤茶色い髪をクルクルに巻き上げた女が不満の声を漏らす。
が、しかし表情は満更でもない。
「おま、マイスウィート花子のことディスってんのかメーン?あ?
そこんとこ、いくら妹でも許さねえぞフヮフwwww」
「てかー、アンタ、スカートからフンドシ的なインナーが全力でコンニチハしてるんですけどw
超ウケるww」
「あんまり騒ぐと捻り潰すぞ花沢メスブタクソビッチ」
「出来るもんならやってみなフヮフwwwww」
カツオが見るもの全てをむかつかせる表情とポージングで挑発すると、
ワカメは素敵カールのモミアゲをニュルニュルと伸ばして相手を威嚇し始めた。
知らない間にそんな技まで会得していたのかと驚きつつも、イクオはワカメをさいなめる。
「ワカメちゃん、駄目だよ。ね。
ここ、磯野家の前なんだから」
「フン…雑魚共め。
相手にする価値もない。イクオ、来い」
ワカメがそう吐き捨てると、モミアゲがシュルシュルと元のポジションに落ち着いた。
「はい…」
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