ざわ‥

「条件、だと‥」

「条件はふたつ、ひとつは利子をつける。月々15%の複利、そしてふたつ目はこの書類にサインすること」

ワカメは安物のカバンから書類を取り出し、差し出した。

「誓約書‥!?」

受け取った書類には確かに誓約書と書かれていて、波平はその内容に困惑するばかりだった。

「フフ‥月々150円程度にしかならない利子なんかより、その誓約書がミソ‥一番の肝なのさ」

波平はよく読み返し、ペテンやトリックが無いことを確認すると早速サインする。
その顔色は安堵に満ちたものであった。
やはりまだ子供‥こういう大人の真似事がやりたくて仕方ないのだろう‥
波平は大人気ないところを見せてしまったな、と少し反省した。

「これで交渉成立だが‥本当にこれっぽっちでいいのか、ワカメ?」

「ああ、がめついた性格だと後々損をする」

波平はクスリと笑い、ワカメの頭を撫でながら言った。
「お前は賢くていい子だ、カツオに爪の垢を煎じて飲ませてやりたいわい」

波平は全く気付いていなかった。
ワカメの心の闇、その深淵に‥


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