「ワカメ、どうだった?」

カツオは自分のことのように熱くなりつつ戻ってきたワカメに尋ねた。
意図した通りに交渉をまとめたワカメはニヤリとしながら答える。

「ああ、上手くいったよ。完璧だ」

「それで幾ら貰うことになったんだ?6000円くらいか?」

矢継ぎ早に質問をぶつけるカツオは少し焦っている様子だ。
ワカメはカツオの性格からして、妹の貰う額が自分より小さいことを祈りつつ、小さければ小馬鹿にして自分の交渉における能力の高さを自慢すると予想していた。

それは緻密な計算でも深い思慮の末に至った推理でもない。
長い間、兄と接してきた妹としての推測‥
女の勘とも言うべきワカメの予測なのだ。

「フフ‥1000円さ」

「な、なんだってっ!?1000円!?」

カツオは自らの予想を遥かに下回る金額に驚いた。
無理も無い。
これから先、兄妹間での金の貸し借りは必然‥
コーラを飲めばゲップが出るという原理と同等に確実‥!
妹の正気の沙汰とは思えぬやり方に動揺せざるを得ないカツオ‥!

ざわ‥ざわ‥

カツオは「何か」が起こることを察知した‥
虫の知らせのような‥はっきりしない悪い予感‥

ワカメはそんなカツオの些細な不安を見抜いていた‥!
カツオが危機の予知に長けていることを知っている‥!


次へ
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送