−はぁ…結局何もできないままこの町に帰って来ちゃった
タラちゃんの言う通り私は一生処女かもしれないわね…
それにしてもさっきから消防車のサイレンがうるさいわ
この辺りで家事でもあったのかしら…
「ワカメちゃん!!無事だったのね!!」
花沢さんが豚みたいに息を荒げて近寄ってきた
「どうしたんですか?」
「あなたの家が燃えてるのよ!早く来てちょーだい!」
家が…燃えてる…?なんで…どーゆーこと…
花沢さんが放心してる私の腕を強引に引っ張って走って行く
家の前に着くと三台もの消防車が一斉に消火活動をしていた
家が…私の家が…どうして…
私は野次馬を押し退け燃え盛る家の中へ飛び込んでゆく
花沢さんの引き止める声が聞こえたけどそんなのは無視した
「お父さんっ!!お母さんっ!!姉さんっ!!ごほっ…マスオ義兄さん!!お兄ちゃん!!タラちゃん!!ゴホッゴホッ」
煙を大量に吸い込み噎せながらも私は無我夢中でみんなを呼ぶ 熱い…熱すぎるわ…頭が痛い…煙が…
「みんな〜…ゴホッゴホッゴホッ…返事してよぉお〜…」
私は泣き崩れた
服に炎が燃え移る
もうどうでもいいわ…なにもかもどうだっていい
どうせ…一人でなんて生きていけっこないもの…
夢とかも…ないし…ブスだからお先真っ暗だし…生きてたって楽しく…ない…し…
熱い…熱いわ…身体がどんどん燃えてる……
薄れゆく意識の中で私は遠い昔の、幸せだった家族の団欒を思い出しながら瞳を閉じた


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