僕もイクラの後を追います
「あれ?タラちゃん学校はどうしたんだい?
イクラちゃんも…二人してまたサボりかい」
父さんが靴を脱ぎながら言いました
「マスオさんこそ、えらく早いお帰りで。まだ昼間なんすけど。
まさかリストラされたこと黙ってエアー出勤してんすか?」
イクラが嫌味たっぷりに言います
「な、何言ってるんだいイクラちゃん。失礼じゃないか。
昔は可愛かったのになんでそんな悪い子になっちゃったのかな〜」
父さんは頭をポリポリ掻きながら言いました
「悪い子はどっちだよ。知ってんだぜ、マスオさんがタイコと不倫してること。
ノリスケが死んだのをいいことにお前はタイコに近付いた。
ノリスケを殺したの、お前だろ?タイコ欲しさにさぁ。
12年前…あの晩、ちょうどタイコがサザエと旅行に出掛けてて家にいなかった時だよ。
お前は家に来てノリスケと晩酌してたよなぁ。
ノリスケがベロベロに酔っ払ったのを見計らってお前はノリスケのグラスに薬を混入した。
俺はお前の奇妙な行動を襖の隙間から一部始終見てたんだよ。
俺は当時まだ三歳だったし言葉もうまく喋れなかったから
警察に見たことを伝えることができなかった。
ノリスケの死は結局自殺ってことに決まった。
年月がたってまともに喋れる歳になった頃、警察にその事件について見たことを話したが
あれは自殺だった、何年も前の事件について今更…って感じで取り合っちゃくれなかった。
俺は今でも忘れねぇよ。
ノリスケの死体のニオイを。
アーモンドの実のニオイをなぁ」
イクラはニヤニヤ笑って父さんを見ます
「い、いい加減なこと言わないでくれ!
僕は疲れてるんだ!イクラちゃん、もう帰ったほうがいいよ。
タイコさんが心配していたよ。
あんまり親に余計な心配かけさすのは良くないと思うよ」
父さんは早口で喋って寝室に入っていきました
イクラが言ったことは本当のようです
「今の話でだいたいわかりました。
イクラはノリスケさんと同じ苦しみを父さんに与えてやりたいんですね」
「あぁ。正直もう限界なんすわ。
アイツを殺してやりたくて身体が疼くぜ」
イクラは歯をギリギリギリギリさせながら言いました


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