「・・・・・・・!」
ま、まさか・・・俺はまだ夢を見ているのか?
「いやぁ、真面目な君にこんな性癖があったとはねぇ・・・」
そう言う穴子くんの野太い声が、悪魔の囁きのように聞こえた。
―そこには、頭からワカメちゃんの羽をかぶって、お空をブンブンしている最中の
下劣な笑みを浮かべた俺が映っていたのだ・・・―
「かっ、隠し撮りだなんて、趣味が悪いぞ!」
馬鹿だ・・・これでは、もう俺がしたことを認めたも同然ではないか。
いや、今さら取り繕う術もないか。
「趣味が悪い・・・?君に言われたくないね」
その通りだから何も言い返せない。
けれど、隠し撮りだって質が悪いことに変わりないじゃないか。
「もしも、この写真を君の奥さんに見せたりしたら・・・彼女、どんな顔をするかな?」
ドクン・・・心臓が嫌な音を立てた。
「パソコンに送って、プリントアウトして、会社にばらまいたっていいんだぞ?」
「・・・・・・・・っ」
なんて奴だ・・・気の置けない友人だと思っていたのに、こんな脅しをかけるなんて―
俺は、自分の変態行為を棚に上げて、穴子くん、もとい穴子への怒りでいっぱいだった。
「何が欲しいんだ・・・金か?いくら出せばいい?!」
「やだなぁ・・・フグ田くん、いや・・・マスオ。僕は金の亡者なんかじゃないよ」
「じゃあ、お前の目的は何なんだ?!」
マスオって呼ぶな。本当に気持ちの悪い奴だ。
俺とはまた違う種類の気持ち悪さだ。
くっくっくっ・・・と笑いながら、穴子はベッドの上に座り、俺の耳元で囁いた。
「本当に世話の焼ける人だ・・・こうでもしないと、あなたをここに連れ込むことはできなかった」
艶っぽい声を出すな。息を吹きかけるな。顔が近いんだよ気色悪い。
「僕が欲しいのは、人のぬくもり・・・君の体温、だよ」
穴子の腕が俺の肩に絡みつく。


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