あれから半年。相変わらずフリーターやってる私、早川。 4月に入った今の本屋のバイトにもすっかり慣れ、ダラダラと過ごしている毎日。

「おはよう〜朝礼やるよ〜」
「あ、中島さんおはざーっす」

バイトリーダーの中島くんが来た。店長が休みの日は中島くんが店を仕切るのだ。
「早川さん昨日発注やった?数間違えてるんだけどさぁ…」
「あ…え…すいません…」
「堀川くんに頼んだから大丈夫だよ。気をつけてね」

堀川君はあのワカメちゃんの同級生で大学生バイト。見た目は普通だけど中身は今時のチャラ男だ。
ワカメちゃんと付き合ったり別れたり繰り返してる。

「早川さんって〜俺より前に入ったっすよね?しかも毎日フルで入ってますよね?」
堀川くんは私の1ヶ月前に入店し、夕方からと土日だけの勤務だ。だが、私より仕事が出来る。
「ご、ごめん…私どんくさいから…」
「…それシャレになってないっすよ。まじアリエネー」
「まぁまぁ堀川くん。今日も一日よろしくおねがいしまーす」

フリーターで毎日シフトに入っているのに、実力はまだ一番下。任されている事といえばトイレ掃除くらいだ。
学生バイトが多いこの店じゃもちろん出会いなんかない。早番の主婦パートのおばちゃん達に嫌味を言われてばかりだ。
「早川さんって学生だっけ〜?」
「早川さんは今流行のフリーターよぉ。前も聞いたじゃないアンタ」
「は、はい。今はこのバイトだけです…」
「実家でしょぉ?親御さん優しいのね〜うちなんかアタシがパート出なきゃやってらんないくらい貧乏だからさ〜
子供も高校進学で大変だし。フリーターってことは夢でもあるの?」
「いえ…特に…」
「あらそぉ…あ、アタシ休憩終わりだから灰皿かたしといてね〜」

ここに入ってから覚えたタバコはちっともおいしくない。

「おつかれさまでー…す。あ、早川さん」
「あ…堀川くん!昨日はほんとすみません…」
堀川くんはマルボロの箱から器用に片手でタバコを取り出しくわえ、ZIPPOで火をつける。
「つか、あやまるのはいいスけど、行動直してくんなきゃ困るんスよね。先輩にこんなん言う気持ち考えて下さいよ」
「はい…」

昔の私は勉強も出来て、頭の回転が早いクールビューティだった。
いつからかカオリにすべて奪われていった。

と、カオリのせいにばかりしている自分に気づき嫌気がさす。
あたしもカオリみたいになりたい…それが本音だった。


続き
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送