―『魚雷男爵』の磯野タラオが、本気でウチを潰そうとしている。

そんな噂を聞いたイクオは、ワカメ会うため十数年ぶりにこの町に舞い戻ってきた。
久しぶりに会うワカメは、ゴルゴ13そっくりの素敵な女性に変身していた。
そんなスナイパーのようなワカメは、力強くタラオの説得を約束してくれた。

「私もご協力致しましょう。猫の手も借りたいでしょうから……」

そう申し出たのは、眼鏡スーツ男子のタマだ。
こいつは見た目が猫でなくなったばかりか、「ニヤニヤしながらうまいこという」技まで身に付けていた。

「イクオ、姉さんも力になりたがっている」

水槽に新しいサザエの貝殻を入れながらワカメが言ったが、イクオは聞こえないふりをした。
まもなくヤドカリは住み替えを行なった。

「姉さん、新しい貝殻、似合っているよ…
ん?イクオに同じことを言って欲しいだって?
はは、しょうがないなぁ、姉さんは…ほらイクオ、どうだ」

「タラちゃんはきっといろいろ考えてる…でも狙われているのは代表の僕ひとりだ。
戦略を練らなきゃ。いくらワカメちゃんの説得でも、タラちゃんが聞き入れなかったらそれで万事休す、だ」

真剣な面持ちでイクオが言う。
被害を最小限に抑えたいのはやまやまだが、果たしてできるだろうか。いや、やらなきゃいけない。
仲間たちを巻き込むわけにはいかない。だからこそなにも言わずに、単身乗り込んできたのだから。

―ピンポーン。玄関からインターホンの間抜けな音が聞こえた。 続いて、先ほど聞いたような声。

「ちぇいすwwwメイスwwwww俺、参上wwwwww」

「甚六さんですね…間の悪いお方だ…
居留守を使いましょう」

タマがため息をもらす。
イクオもそのほうが賢明だろうと考えた。

「いや、待て」

ワカメがそれを制した。

「いい考えがある」


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