ワカメは苛立ちを誤魔化すように煙を吐き出し、まだ長い葉巻を捨てて踏み潰した。

「あのクソ虫…」

「ねえ、ワカメちゃん…
今のほんとに甚六さんなの?」
「左様」

「あの、なんか、関西弁ぽくなかった?」

「先週末、タラオと大阪に社会見学に行ったそうだ」
イクオは無駄にそわそわしている。
イクオがこの町にいた頃は、甚六も冴えない浪人生だったのだ。

それが今となってはただのクソ虫…無理もない。

しかしイクオの懸案事項は、実は別にあったのである。




「タラオさんwwwwザイスwwwwザイスwwww
ローソソでパンと牛乳買ってきましたwwwww」

「ジン君、遅かったね。
3分42秒オーバー」

大きな皮張りのソファに陣取ったタラオは、高価な腕時計を見下ろし低い声で言った。

「サースwwwwサースンwww
なんや運命的にwwタラオさんの姉上にwww超会ってwww
なんや超足止めされましてwwww
スイッスwwww」

「つーかジン君。
次もし約束の時間に遅れたら」
「なんすかwww」

「顔、潰すからね」

タラオは指にはめたメリケンサックを愛しげに撫でながら言った。

「なんでやねーんwwwwww」

甚六の頬ギリギリをボールペンがかすめ、後ろの壁にストンと刺さった。

「いや、真面目にね」

タラオはニコリと笑ってみせた。


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