暗闇の中から声がした。
誰の声が分からなかった。

久しぶりに聞いたタラちゃん声だった。
思い出すのに時間がかかり過ぎた。
それくらい、あたしはタラちゃんを見ていない。



「――――好海は、リカとノリスケおじさんの子供だ。」

―――――――――タラ…ちゃん…

目の前で話をしているのは誰…?
あたしの…知ってる…タラちゃん…?


「なっ…何言ってンのよ…、た、確かにエンコーしたこと…あったけどっ、
でも好海はタラオとあたしの子供よ!
あん時ナカ出ししたジャン!!あたしの…っ…あたしとタラオの…
だ…だいたいおまえら…突然来てなんなワケ?!
頭おかしいんじゃねぇの?!」

リカちゃんは声をあらげ、あたしを睨み付けた。


「ねぇタラオ信じて?あたし達ゴムつけたことないジャン!
エンコーの時はゴムしてたもん!ね?信じてタラオ!!」
「―――――」
「……………」


リカちゃんの必死な声が廊下に虚しく響く。


「―――――もういいんだ」
「…!!タラオ…違うのォ…信じてよ……
本当に……ほんとにあたし達の子供だからぁ…っ…」





「リカ。
 ――――――ボクは…



 無精子症だ」


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