「――――――が………たんだ…」


「―――欲しかったんだ…
リカとの子供が…欲しかったんだ!!」

そこにいるタラちゃんは、あたしの知ってるタラちゃんだった。
純粋過ぎたタラちゃんは
想いは歪んでしまったけれど、ずっとリカちゃんのことを想い続けていた…。
幼い頃のおままごとを、タラちゃんは現実にしたかったんだよね…。




その後のことはよく覚えていない。
リカちゃんは家を飛び出し、イクラちゃんとタラちゃんが追いかけていったような気がする…。
あの3人はどうするんだろう…?
どうなったかな…。
悪い夢でも見てるのかな…。

あたしの頭は妙に冷めていて
荒波の後の静かな浜辺のようだった。

―――お茶でも飲もう…

なんだか喉が乾いた。
喉が乾いているのは錯覚で、心がクサクサしているようだ。
あたしは力の抜けた膝に力を入れて、台所へ向かった。

居間には桐の箱が置いてあった。
蓋が半分開いている。
なんだろう…。
お姉ちゃんのかな…。

カタン…。

中を見ると、
『遺 言』
と書かれた封筒が入っていた。
母さんの字だわ…。
封筒は封が切られ、
誰かが手紙を読んだことが分かった。

あたしも…
はやる気持ちを抑え切れず
桐の箱に手を伸ばした。
そこには封筒の他にも何かが入っていた。
――――浴衣…。

そう、薄いピンク色をした朝顔の地の浴衣。



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