「姉さん、ただいま」
「遅かったわね、ご飯食べて来たの?」

そんな相手も友達もいないわよ…。

「う、ううん、まだ。」
「そう…。姉さん今日調子悪くてね…、ご飯作ってないから、少し待ってなさいな」

姉さんは毎日タラちゃんの暴言、ときには暴力に悩まされ、鬱病になった。
あんなに明るかったサザエさんが…あんなに可愛かったタラちゃんが…と近所では囁かれてる。

「ね、姉さん!…いい、あたし作るから」
「ワカメ…悪いわね…」

姉さんは逃げる様に客間に入っていった。
姉さんとマスオ兄さんが使っていた部屋は、今はタラちゃん達が使っている。


あたしは姉さんに聞こえないように短くため息をつき、
台所に立った。
いつか好きな人のお嫁さんになったとき困らないようにって
母さんはお料理をたくさん教えてくれた。
あたしも素直に好きな人の帰りを待ちながら料理を作るのを夢見てた。
…そんな日は来そうもない。
それどころか男の人とまともに喋れない。
男の人だって、あたしのことなんか眼中にない。
…母さん…あたし、どこで間違っちゃったのよ…?


母さんの台所は
コンビニのお弁当の空き箱と発泡酒の空き缶、カップ麺のカラ容器ばかりが山積みになっていた。


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