イクラちゃんは相変わらずの茶色い髪の毛をなびかせ、恥ずかしそうに鼻の頭を掻いていた。
学校帰りの女子高生が、イクラちゃんと地味なあたしのツーショットを
不思議そうに横目で見てくのが分かる。


「ごめんね急に呼び出したりして…。喫茶店なんかじゃない方がよかったよね?」
「ははっ、なんかデートみたいで照れちゃいますね(笑)」
「えっ…あはは…っ」

顔が赤くなる。
まさに「喪女にそんなこと言うと惚れちまうだろーが!」だ。
相手はこんな年の離れた男の子じゃないの…。


「タラ兄元気っすか?」
「うん、元気よ…。」
「……ワカメ姉ちゃんのが、元気なさそっスね…。」

イクラちゃんはメロンソーダの氷をストローでつついて言った。

「で、俺に聞きたいことってなんスか?」
「あ…う、ううん…たいしたことじゃ…」
「そ?…俺、俺ね、明るいワカメ姉ちゃん好きだったからさ、
最近、ワカメ姉ちゃんち…大変じゃないスか。
俺…なんか…なんか、力になれたらいいんだけど…
俺…スイマセン…うまく言えねーけど…」



イクラちゃん…。
イクラちゃんの瞳はまっすぐで
あたしは妙なことを勘ぐった自分を恥じた。


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